ミノキシジルは「高い発毛効果」を持つ薬ですが、以下のような副作用があります。
本記事ではミノキシジルの副作用について詳しく解説していきます。
ミノキシジルの副作用について
ミノキシジルは、主に錠剤を服用する内服薬と、頭皮に薬液を直接塗る外用薬の2種類があります。
いずれも薄毛治療で広く用いられていますが、内服薬と外用薬では副作用の症状や発生頻度に違いが見られます。
薬液を頭皮に直接塗る外用薬の場合、頭皮に様々な副作用の症状が出る可能性があります。
例えば皮膚のかゆみや痛み、発疹や皮膚炎などの症状です。
皮膚:頭皮の発疹・発赤*,かゆみ,かぶれ,ふけ,使用部位の熱感等
一般用医薬品 : メディカルミノキシジル5%
敏感肌の方や過去に外用薬で肌トラブル・副作用を経験したことがある方は、特に注意した方が良いでしょう。
一方の内服薬は、ミノキシジルが直接体内に入りますので、外用薬とは違った副作用が出る恐れがあります。
具体的には、頭痛や動悸・胸の痛み、立ちくらみやむくみなどの症状が見られます。
しかし、ミノキシジルの副作用の発生割合は比較的低く、1割にも満たないのが実情です。
10人に1人が副作用を感じるかどうかという程度のため、安全性は高めと言えるでしょう。
また副作用の症状・感じ方は個人差もありますので、過度に恐れる必要はありません。
そこで、ミノキシジルの副作用について一つずつ詳しく解説していきます。
初期脱毛
ミノキシジルの副作用で広く見られるのが初期脱毛です。
初期脱毛とは、ミノキシジルなどの薬を使い始めた初期段階に見られる脱毛の症状を言います。
個人差はありますが、使い始めてからすぐ現れることが多いです。
ただし、脱毛の症状は一時的なものであり、その後ずっと続くわけではありません。
ミノキシジルはヘアサイクルを正常化させる働きがありますが、この働きが初期脱毛につながっています。
ヘアサイクルを正常化させる過程で、休止期に入って成長が止まっていた毛髪が抜けやすくなります。
これが初期脱毛で、ミノキシジル使用後2週間前後で症状が見られ始めます。
ただ、初期脱毛の期間は個人差が大きく、1ヶ月で終わる場合もあれば、3ヶ月程度続く場合もあります。
抜け毛の量も人によりますが、ミノキシジル使用後はしばらく様子を見ることが大切です。
多毛症
ミノキシジルを使用し始めた後、人によっては多毛症の副作用が出ることもあります。
多毛症は体毛が濃くなる症状で、ミノキシジルの発毛効果が影響しています。
しかし、外用薬は頭皮以外に作用しませんので、多毛症が発生するケースは非常に稀です。
一方の内服薬は全身に作用するため、腕毛やすね毛など頭皮以外の体毛が濃くなることがあります。
ただ、多毛症はミノキシジルが効果を発しているポジティブなサインです。
気にしないのが一番ですが、体毛を濃くしたくない方は医師に相談しましょう。
頭痛
ミノキシジルを使用した後、人によっては頭痛の症状が出ることがあります。
頭痛が起こる理由は、ミノキシジルを服用した後に広がった血管が神経に触れるためです。
通常は一時的な症状で終わりますが、長期間続く時は医師に診断してもらいましょう。
胸痛
ミノキシジルを使用後、副作用として胸の痛みが発生するケースも見られます。
ミノキシジルは血管を拡張させる働きがありますが、基本的に動脈にのみ作用します。
一方、動脈を流れた血液は心臓へと戻りますが、血流が強い状態のまま静脈へと流れ込みます。
その結果、血流のバランスが乱れてしまい、心臓の負担が増えて胸痛の症状を引き起こすのです。
痛みの程度は個人差がありますが、循環器系に問題を抱えている方や心臓に障害がある方は気を付けましょう。
顔や手足のむくみ
顔や手足のむくみも注意が必要な副作用です。
ミノキシジルは動脈を拡張させる作用があり、一時的に血流が増えることが影響しています。
ところが静脈には血管拡張作用が働きませんので、同量の血液を戻すことができなくなります。
結果として手足などの末端部に血液が留まり、むくみの症状を引き起こすのです。
また、ミノキシジルの成分は肝臓や腎臓で分解・ろ過され、尿として体外へと排出されます。
しかし、肝臓や腎臓の機能が低下している場合、顔・手足のむくみを引き起こすことがあります。
皮膚炎
皮膚炎にも注意が必要です。
ミノキシジルの外用薬はもちろん、内服薬でも皮膚トラブルが発生する可能性があります。
症状としては、皮膚のかゆみや発疹、肌荒れ、毛穴の炎症などが挙げられます。
副作用の出方は人それぞれですが、接触性皮膚炎の症状が出ることもあるため気を付けましょう。
ミノキシジルによって皮膚炎が起こる理由は、含有成分がアレルギー反応を引き起こすためです。
特に敏感肌体質の方など、肌が弱い方は注意しておきましょう。
動悸、息切れ
人によっては、ミノキシジルを使用した後に動悸や息切れの副作用が起こることがあります。
ミノキシジルによって血管が拡張されると、全身の血流がよくなります。
しかし、動脈が弛むと心臓へ酸素を供給する量が減少し、血液を巡らせる力が落ちてしまうのです。
心臓は全身に血液を巡らせる役割を果たしていますが、力が落ちると必要な酸素量が増加します。
ところがミノキシジルによって動脈が弛緩すると、酸素が足りない状態が起こります。
心臓は酸素を求めて鼓動が早くなり、結果的に動悸・息切れなどの症状が現れます。
通常ならミノキシジルを継続的に使用することで体が慣れ、症状は少しずつ改善されていきます。
服用後、断続的に動悸・息切れが続くようであれば、医師へ相談した方が良いでしょう。
立ちくらみ、めまい
立ちくらみやめまいなどの症状にも注意が必要です。
ミノキシジルは元々降圧薬として開発された経緯があり、血管を拡張させると同時に血圧を低下させる作用があります。
そのため、急激な血圧の変化によって立ちくらみやめまいなどの副作用が起こる場合があるのです。
立ちくらみなどは、一時的な症状で終わるケースが多いものの、同時に頭痛や胸痛などの症状が出ることもあります。
不安がある方は、ミノキシジルを使用した後、しばらくは安静にしておきましょう。
ミノキシジルの副作用の発生割合
ミノキシジルには様々な副作用がありますが、副作用の発生割合は比較的低いと言えます。
また、他の薄毛治療薬も副作用は出ますので、ミノキシジルのみが危険なわけではありません。
以下は2009~2013年にかけて厚生労働省が調査した結果ですが、調査件数に対する発生件数は少なめです。
およそ100人中9人が副作用を報告しています。
主な副作用は発疹などの皮膚炎で、頭痛やめまいなどの症状を訴えたケースも一定数あります。
ただし、重篤な副作用は報告されておらず、ほとんどの症例は軽度の副作用で済んでいます。
参考リンク:特別調査(モニター店による調査)
ミノキシジルの副作用を事前に抑える為の対処法
もしミノキシジルの副作用リスクを低減したい場合は、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
血圧や心臓に持病がある方は事前に医師へ相談
高血圧や不整脈・心不全など、血管や心臓に関する持病を抱えている方は、ミノキシジルを使う前にかかりつけ医に相談しましょう。
ミノキシジルは立ちくらみやめまい、動悸や息切れなど血圧の変化による副作用を引き起こすリスクが潜んでいます。
また、血管の収縮によって血圧が急に変化したり、心臓への酸素供給量が落ちたりする可能性もあります。
血管・心臓に強い負担がかかる危険もあるため、必ず医師に相談してから使用可否を判断しましょう。
5%濃度のミノキシジル外用薬から使い始める
ミノキシジルの副作用リスクを抑えたい方は、5%濃度の外用薬から始めるのもおすすめです。
ミノキシジルの濃度が高い外用薬は、その分高い発毛効果が期待できる反面、皮膚炎などの副作用リスクも高まります。
痛みや発疹などの症状が出ると、頭皮の環境が悪化してしまう可能性もあります。
一方、濃度が5%程度のミノキシジル外用薬は、肌への影響を抑えることができます。
副作用のリスクも低くなりますので、最初は5%程度から様子を見てみましょう。
内服薬ではなく、外用薬を使用する
ミノキシジルは内服薬と外用薬がありますが、副作用を抑えたいなら外用薬を選びましょう。
外用薬も少なからず副作用はあるものの、皮膚のかゆみや皮膚炎など肌トラブルに関するものがほとんどです。
頭皮以外で多毛症が起こるリスクが低く、動悸や息切れ、立ちくらみといった副作用が起こるリスクは高くありません。
内服薬は飲むだけで良い反面、ミノキシジルの成分が全身に作用します。
外用薬と比較して副作用のリスクが高いので、不安がある方は避けておきましょう。
ミノキシジルの副作用に関するまとめ
ミノキシジルは内服薬と外用薬の2種類があるものの、頭痛や皮膚炎、顔や手足のむくみなどの副作用が出る可能性があります。
しかし、副作用のリスクは低く、5%含有外用薬を用いた厚生労働省の調査でも、発現率は8.82%と低い水準です。
ただ、血圧や心臓に持病を抱えている方や、使用を始める前に医師へ相談しましょう。
少しでも副作用のリスクを抑えたい場合は、外用薬から始めるのもおすすめです。
まずはミノキシジル濃度5%から始め、様子を見てみると良いでしょう。